画像生成AIのインパクトはすごい…是非はともかく
昨年来、「Midjourney」や「Stable Diffusion」など、さまざまな画像生成AIのサービスが登場。出力される画像のクオリティや、わずか数ヶ月で急激な進化を遂げていることから、ネット上の話題をさらい続けています。
一方で、著作権の問題や創造的な作業に対する価値の位置付けなど懸案は、解決されず残っています。クリエイティブの世界にどのような影響を与えるかもまだ未知数ですが、何かしらの変容を迫られることは必至と思われます。
職業柄、画像生成AIの隆盛に手放しで歓迎とはいかないのが正直な感覚ですが、使い方によっては時短や効率化、ブラッシュアップさせることへの一助にはなるかなと思います。
食わず嫌いも良くないと思い、アニメ・ゲーム風のイラスト生成に特化したAI「にじジャーニー」の使い方を取り上げます。また画像生成AI全般の最新の動きや問題点についてもウォッチしたいと思います。
- にじジャーニーとは
- 利用はDiscordから
- 左サイドの「#画像生成」へ
- 「/imagine」で生成ボットを起動
- 「呪文」を入力
- 4種類の画像が生成
- 右クリックから画像をダウンロード
- やっぱりちょっと変なところがある…
- 英語のプロンプト(呪文)を手軽に生成する
- なるべく最新情報と雑感
- 著作権の絡みはまだ複雑
- ※2023.6.6更新 文化庁が見解公表「類似性が認められれた著作権侵害」
- pixivが方針転換、その他当事者・業界団体の動き
- 各国に規制の動き
- まとめ
にじジャーニーとは
アニメやゲームなどで見られるキャラ絵に特化した画像生成AI。日本語対応しているため、英語が苦手でも手軽に利用できます。
無料版と有料版があり、無料版は1日で生成できる回数が25回までです。
利用はDiscordから
利用には、コミュニケーションサービス・Discordのアカウントが必須です。
にじジャーニーのサイトから「ディスコードに参加しましょう!」ボタンを押すと、Discord起動のダイアログが表示されます。
起動したDiscordから「招待を受ける」ボタンを押し、続いて言語で日本語を選択します。さらに完了ボタンを押すとDiscordの「にじジャーニー」サーバーに入ることができます。
左サイドの「#画像生成」へ
左サイドにさまざまなメニューがありますが、画像生成に必要なのは「#画像生成」のチャンネル。ここをクリックして入ります。
「/imagine」で生成ボットを起動
メッセージ入力欄にコマンド「/imagine」を入力します。すると生成ボットが起動します。
「呪文」を入力
生成したいイラストの特徴を表すプロンプト、いわゆる「呪文」を入力します。「prompt」の直後に各ワードを「、」で区切り、並べます。
ここでは例として、「ボブ、女性、眼鏡、黒髪、透明感、上半身、背景白一色」と入力します。
4種類の画像が生成
入力して数分すると、4種類の画像が生成されます。生成されるまでの間、他のユーザーもどんどん入力していくのでタイムラインが進みます。見失わないようにしましょう。
生成すると「U」と「V」それぞれ4つのボタンが現れます。
- U1~4 … 左上は「U1」、右上は「U2」、左下は「U3」、右下は「U4」、の順で対応したボタンです。このボタンを押すことで4種の中から、最終イラストを生成します。
- V1~4 … 気に入ったイラストで、さらにバリエーションを付けるにはこのボタンを押します。
- リロードボタン … 気に入ったイラストがない場合はこのボタンを押して再生成します。
今回は「V3」を押し、3枚目のイラストで他のバリエーションを生成させます。下記のようになりました。
右クリックから画像をダウンロード
最終的に「U3」の画像を選択。すると別のメッセージ欄で画像生成のメッセージが表示されます。次々流れるタイムラインの中ですので、これも見失わないよう注意しましょう。
最終画像が生成されました。右クリックから「画像を保存」でダウンロードします。
やっぱりちょっと変なところがある…
指の造形がおかしかったり、ヘッドホンのコードや指が途中で切れていたり…生成した画像の細部には、違和感のあるところがいくつか見られます。
呪文が若干雑なこともあるためか、もしくは実際はAIが呪文を英語に変換して生成しているようで、より高い精度を求めるなら呪文は英語の方がよいかもしれません。
英語のプロンプト(呪文)を手軽に生成する
英語のプロンプト(呪文)を手軽に生成できるサービスがいくつかありますので、そちらを利用するのもいいでしょう。
なるべく最新情報と雑感
著作権の絡みはまだ複雑
ネット上の著作物利用にはモラルハザード(法遵守や倫理観の欠如)が常態化しており、個人的にはその傾向を助長している印象を持ちます。
絵柄や作風はクリエイター(著作者)が生み出したものであり、了解を得ずに学習のネタとして利用している設計は、著作人格権(クリエイターの「名誉」や「アイデンティティー」、「作品への思い入れ」を守る権利)を侵害しているのでは?という疑念も感じます。
また画像生成AIで生成されたイラストは著作権フリーとする情報が見られますが、こうしたAIの存在を現行法が想定しておらず、法解釈も揺らぎがあり、まだ問題なしとは言えないのが現状です。
※2023.6.6更新 文化庁が見解公表「類似性が認められれた著作権侵害」
文化庁ならびに内閣府が2023年5月30日に「AIと著作権の関係等について」と題した文書を発表。そこでは生成AIによる生成物と既存の作品の著作権の関係についての見解が述べられています。
ポイントは2点です。
- AI生成画像をアップロード・公表したり、複製物を販売したりする場合の著作権侵害の判断は、私的な鑑賞など著作権利用が認められている場合を除き、通常の著作権侵害と同様に扱う
- 生成画像が既存の画像(著作物)との類似性や依拠性が認められれば、著作権者は著作侵害として損害賠償請求・差止請求が可能であり、また刑事罰の対象となる。
かなり踏み込んだ内容と言えます。
pixivが方針転換
当初AI利用を容認していたpixivも、短期間での方針転換を迫られています。
pixivの対応に批判的なクリエイターからは、作品を非公開にするなどの抗議・意志表示のアクションが展開。
俳優や音楽家などの芸能従事者で作る日本芸能従事者協会からも、活動や権利の保護を目的に生成元データの開示などを求める要望書を国に提出しました。
各国に規制の動き
また各国政府の思惑はどうあれ、欧州を始めとしてこうしたAI利用に規制をかける動きが出始めています。AIの発信地・アメリカのバイデン大統領も規制へ言及しています。
一過性のブームに終わる…?
ITの新たなトレンドやキーワードは猫の目のように移り変わり、そのたびごとに「世界が変わる」といった大げさな論評、「バスに乗り遅れるな」とばかりに囃し立てる言説に覆われてきました。
新技術がなんらかの変化をもたらすことに確かですが、その普及のスピードは意外と遅かったり、愛好家の間で利用されるだけに終わるなど、「思ってたよりすごくはなかった」ということはありえます。
ネット上のサービスと著作権について、合意形成や倫理観が醸成されていなかった時代の、METALLICAに訴えられたことをきっかけにサ終したNapsterを想起させます。
このままモラルを欠いた利用が放置され、画像生成AIの規制が進んだ場合、一過性のブームに終わる可能性もあります。話題がしぼむのも意外と早いかもしれません。
まとめ
このサイト上のイラストは全部自分で描いていますが、私は本職のイラストレーターではないため、遅筆で時間がかかります。時間がない中で各記事のアイキャッチ画像になにかキャラを用意したいという場合には時短になって便利かなという感じ。ただし積極的に利用したいという気にはなれません。
グレーな状況でしばらく続きそうですが、個人的には「時短」「ポーズの参考」「その他インスピレーション」などを得る目的での使用に限るかな、というところです。
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