【柴犬のはなし】狂犬病は終わっていない~予防ワクチンが義務である理由|愛玩動物飼養管理士

【柴犬のはなし】狂犬病は終わっていない~予防ワクチンが義務である理由|愛玩動物飼養管理士|スタジオ・ボウズ 柴犬のはなし

※このページでは、愛犬の柴犬エメがかわいすぎて「愛玩動物飼養管理士」を取得したデザイナーが、ペット飼育に関する情報を発信しています。

接種率が下がっている

狂犬病予防法によって年1回の接種が義務付けられている狂犬病ワクチン。かつては100%だった接種率が、近年では7割台まで落ち込んでいると報道されています。

対策が徹底され狂犬病にかかるリスクが遠のいたことで逆に狂犬病への意識が低下、そこにコロナ禍の3密回避で各自治体の行われる集団接種の機会がなくなったこと、などが背景とされています。

この7割という数字についても、行政への届け出のない未登録犬を含めると実際はさらに低いと見られます。

しかし狂犬病ワクチンの接種は狂犬病予防法に定められた飼い主の「義務」。怠った場合は20万円以下の罰金に処せられる場合があります。

こうした厳しい取り決めの背景となる、狂犬病や予防対策の現状について見ていきます。

狂犬病とは

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狂犬病は、人と動物の間で感染する「人獣共通感染症」で狂犬病ウイルスに感染することで発症します。ポイントは下記のような点です。発症するとほぼ100%死亡するという恐ろしい病気です。

感染経路 感染した動物に咬まれて感染
症状
  • 潜伏期間:1~3ヶ月
  • 発症:不安感、興奮、麻痺などの神経症状

発症後はほぼ100%死亡

国内の感染状況 1957(昭和32)年以降、国内での発生はなし
※ただし海外からの帰国者が国内で発症した例あり



狂犬病が発生していない国はごくわずか

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日本では戦後まもなくの1950(昭和25)年制定の狂犬病予防法のもと、官民一体の対策が進められた結果、1957(昭和32)年以降、発生していません。

しかし世界で狂犬病が発生していない国は日本、オーストラリア、ニュージーランド、イギリスなどわずかな国・地域のみ。

国境を超えて人・モノが移動する今日では、いつ・どこから入ってきてもおかしくない危険な状況にあります。

世界の狂犬病の発生状況(厚生労働省)|スタジオ・ボウズ

世界の狂犬病の発生状況(WHO、2017年、厚生労働省より

狂犬病予防法とは

狂犬病の予防や撲滅を目的とした狂犬病予防法。一般の飼い主に最も関わってくるのは、自治体への登録と年1回の接種が義務付けです。法律の概要は下記の通りです。

目的

狂犬病の発生を予防し、そのまん延を防止し、およびこれを撲滅することにより、公衆衛生の向上および公共の福祉の増進を図る。

内容

国内対策
  • 登録(一生に1回)
  • 各自治体に登録した際交付される鑑札の装着
  • 年1回の予防注射
  • 注射済票の装着
  • 未登録・未注射の犬の抑留
侵入防止対策
  • 輸出入での検疫
発生時の措置
  • 届出、隔離、臨時の予防注射・検診など
罰則
  • 検疫を受けずに犬等を輸入:30万円以下の罰金
  • 未登録・未注射:20万円以下の罰金 など

ワクチンで予防できる

狂犬病は感染前に加え、また感染した動物に咬まれた後でもワクチン接種すれば、発症を防ぐことができます。

感染前 3回接種(研究者、海外旅行者など)
感染後 感染した動物に咬まれた後、0・3・7・14・30日の5回接種



愛犬を、人を、社会を守るために

【柴犬のはなし】狂犬病は終わっていない~予防ワクチンが義務である理由|愛玩動物飼養管理士|スタジオ・ボウズ

狂犬病予防ワクチンは、同病のまん延を防止・撲滅を通じて、社会の安定や福祉向上を図るものと言えます。そして何より、愛犬と飼い主の健康を守る防壁です。

ワクチン接種による副反応リスクなどへ疑念から、あえて予防接種をしない飼い主もいると考えられます。その考え方を否定はできません。

しかし、飼い主自身のルールや法律への無知や、接種が必要なことをそもそも知らない、といった理由で接種していないのであれば、それは無責任のそしりを免れないのではないでしょうか。

愛犬が社会の一員として見なされるために、飼い主が守るべき重要なルールが狂犬病予防ワクチンです。しっかり接種することが望ましいと言えるでしょう。